十余年在籍した研究室を退官するにあたり、漠然と悠々自適な趣味の生活ばかりを思い描いてきたが、思いのほか生活を根本から見直さねばならなかった。それは経済的理由ではなく、研究者の端くれとして学術業界で身すぎ世すぎしてきた者として、より深刻な事案だ。 教え子の進路でも老後の費用でもなく、研究室に山積みになっている蔵書のことだ。 きっと同じ悩みを持つ同業者も多いと思うので、人生の一部が詰まった本棚という卒論より難解な課題を、理想的に解決した話を残しておきたい。 いつまでもあると思うな研究室 日常的に目に入ってる研究室の本棚という存在が、いかに有り難いことだったのか、ここに来て気づかされた。 自宅の書斎はすでにいっぱいで、ついつい買い足した本や資料は研究室の本棚に置くようになった。 大学ならばスペースもあるし、講義や研究に使う以外にも、学生たちに閲覧させたり貸出する意味でも置いている意味がある。 学
![退官間近の研究職。研究室に山積みの「虎の子蔵書」。最適解を学生に学び、事なきを得た話。](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/7d9efd27c5a3a8301295cbba96fe44d575067197/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fmag.book-ocean.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2023%2F04%2F3418748_m-1-1024x768.jpg)