〈ぼくは兄に言った。学校についての本を書こうと思うと。学校といっても、この川のように変化する社会のなかの変化する学校ではなく、この絶え間ない激しい動きのただなかにあって、まさに変わらないもの、誰も決して語ろうとしない恒常的なもの、つまり劣等生と親と教師が分かち合う苦しみ、そう、たくさんある「学校の悲しみ」の相互作用についての本だ。……〉 「マロセーヌ・シリーズ」など、多くの作品がフランスをはじめ日本でも広く読まれているダニエル・ペナック。そのペナックが、60歳を過ぎて初めて、劣等生だった自身の少年時代を振り返り、文章に紡いだ。 宿題ができなかった言い訳の嘘を重ねることにエネルギーを使い果たし、机に向かう力など残らない子供たち。勉強が何の役に立つのかわからず、教室にいながら心はよそへ行っている子供たち。彼らにとっての今・ここである教室に安住させるために教師には何ができるのだろう。 自身の癒し
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