京大に「折田像」が今年も登場したが、今年もずいぶんと良い出来であった。例年この二次試験の時期は雨が降り、ともすれば無残な姿を晒しかねないハリボテは、しかし雨を受けてもなお一点の色落ちもなく、見事なものだ。投入された技術は、たしかに数年間の制作の経験が生かされているのだろう。ニュースにもなったし、受験生の目にもおもしろいものとして映ったに違いない。 ところが、である。 京大生の一人として、今年はついに像に対して「憔悴」に近い感情を覚えてしまった。 理由はただ一点。 「誰にでも作れる像を造って、どうするのか?」ということだ。 折田像の歴史は、「誰にも考えつかないことをやってきた」歴史である。塗り替えるだけでは飽きたらず、着せ替え、かぶせ、はては像そのものまでねつ造してきた。それは、真に驚くべき創造力の歴史だ。だからこそ折田像はいまや京大の象徴としてニュースにも取り上げられるほどの知名度を誇るま