身体の一部を失うことは、動作の自由を失うだけでなく、心にも深い喪失感をもたらすといわれる。義手や義足の機能を限りなく追求し、かなりの動作を 回復したとしても、心が受けたダメージを回復することは実は難しい。機能と心の回復。それが義肢装具メーカーの課題でもあった。ところが実際は、義肢装具 の市場をリードする欧米企業も、機能と心の両面にまで目配りする余裕はなかったのだ。 切実なニーズがありながら、その声に応えられない。市場の飢餓感が増すなか、彗星のようにあらわれたのが、義肢装具では後発とされていた日本の、しかも人口650人という小さな町の零細メーカー、中村ブレイスだった。 指 紋や体毛、血管まで再現した義手や義足。シリコン加工技術を駆使して弾力性を与え、ミクロン単位の穴を開けて蒸れない工夫も施す。人工乳房にいたっては本 物同様に、仰向けになると横にたわみ、お風呂に入ればうっすらとピンク色に染まる
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