おや、これは随分と踏み込んだ良社説。 今回の地震は岩板の境界面ではなく、岩板の中で発生し、断層のタイプも跳ね上がりの逆断層とは違う。規模もM6.5とM8に比べると100分の1以下である。発生場所、メカニズム、規模の3点で、想定される東海地震とは大きく異なり、直接的な関連性は薄いと見るのが合理的かもしれない。 まあ、それはそう。 私たちは「予知幻想」が、日本の地震研究と地震防災に影を落としている、と指摘してきた。31年前に東海地震対策としてつくられた大規模地震対策特別措置法=大震法は、時間と場所と規模を特定して、発生の2、3日前に地震を予知する直前予知を、防災の大前提にしている。 研究が進んで、予知が極めて困難なことが判明しても、行政と学界はそれを率直に認めず、予知にこだわり続けている。今回の地震の評価で、気象庁や判定会の談話に盛んに登場する「プレスリップ」という言葉はその象徴でもある。 大