私の研究分野は言語学です。具体的には主に以下の三つのテーマを研究しています。 (1) オーストラリア原住民語(1971年から) (2) 言語類型論(1980年頃から) (3) 言語消滅の危機と言語再活性化(1995年頃から) この三つのテーマは一見、無関係に見えるかも知れませんが、実は、密接に関係があります。どのようにして、この三つを研究するようになったか、お話しします。 私は1971年に本学の大学院の言語学専修課程を休学して、豪州、メルボルンにあるMonash Universityの言語学科の修士課程に入りました。 修士課程では、大陸東北部のワロゴ語を調査しました。この言語は当時、既に消滅寸前で、流暢な話者は二人しかいませんでした。最後の話者が1981年に死去し、この言語は死滅しました。博士課程の時は、大陸東北部のジャロ語を調査しました。この言語も当時、話者の数は250人程度でした。 1