私たち人間をはじめ、動物も植物も、一つの細胞である受精卵が分裂し、増えた細胞がいろいろな性質を持ち特殊化する(分化する)ことで、体ができあがります。ところが、ひとたび分化した普通の細胞でも、受精卵のようにさまざまな種類の細胞を作り出すことができる幹細胞(注1)へと変化させることができます。ヒトを含む哺乳類では、分化した細胞に複数の遺伝子を働かせて、幹細胞(iPS細胞)(注2)に変化させることができるようになりました。一方で植物は、遺伝子操作をしなくても、挿し木や葉刺しによって容易に植物体全体を作り出すことができます。これは、分化した細胞から幹細胞が作られるためです。これまで、1遺伝子を働かせることで葉細胞から幹細胞を含む分裂組織を作り出すことは可能でしたが(注3)、葉細胞を幹細胞に直接変える遺伝子は見つかっていませんでした。 本研究はJST戦略的創造研究推進事業ERATO分化全能性進化プロ