「FinTech」という言葉が使われ始めて、ちょうど10年が経過した。そんな節目の年である2024年に、業界をけん引してきたマネーフォワードが祖業の家計簿アプリを本体から切り離す決断を下した。同社を含めて個人向け事業の拡大に苦慮するケースが目立っており、FinTech業界は現実に直面している。 「マネーフォワードにとって、個人向け事業をどうするかはずっと論点だった」。マネーフォワードの辻庸介社長CEO(最高経営責任者)と関係が深いFinTech企業のトップはこう解説する。 マネーフォワードは2024年7月、三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下の三井住友カードと資本業務提携で基本合意したと発表した。両社は法的拘束力を持つ契約(最終契約)を9月に締結することを目指している。 資本業務提携の中身はこうだ。まずマネーフォワードが祖業の家計簿アプリなどを本体から切り離し、新設する子会社に移管す