むかしむかし、ある町には、美しい『しあわせの王子』の像(ぞう)がありました。 その『しあわせの王子』の体には、金色に光かがやく金ぱくが貼ってあります。 青いひとみはサファイアで、腰の剣には大きいルビーがついています。 町の人たちは、このすばらしい王子のようにしあわせになりたいと願いました。 冬が近づいてきた、ある寒いタ方の事です。 町に、一羽のツバメが飛んで来ました。 「ふうーっ。ずいぶんと、遅れちゃったな。みんなはもう、エジプトに着いたのかなあ? 今日はここで休んで、明日旅に出よう」 ツバメはしあわせの王子の足元にとまり、そこで眠ろうとしました。 するとポツポツと、しずくが落ちてきました。 「あれれ、雨かな? 雲もないのに、変だな。・・・あっ、王子さまが泣いている。もしもし、どうしたのですか?」 ツバメがたずねると、王子が答えました。 「こうして高い所にいると、町中の悲しい出来事が目に入