1939年8月26日より中外商業新報などで連載を始めた吉川英治『三国志』ですが、それに先だって24日の夕刊に新連載の予告記事が出されていました。 作者が、新聞社が、この新連載をどのように考えていたかアピールしようとしていたか端的に窺えて、なかなか面白いです。戦前の大衆三国志観、大陸観が見え隠れしてるかなーって感じですね。 以下に全文を紹介します。太字はにゃもです。 長らく愛読を賜りました子母澤寛氏の「女夫系図」は好評裡に明日完結致しますので続いて、吉川英治氏の「三国志」を以て夕刊第一面を飾ることになりました。 呉、蜀、魏の三国鼎立に纏るこの大歴史小説「三国志」は、大衆文壇の第一人者吉川氏を得て新しい興味と感銘を盛ることと信じます。背景は今や皇軍活躍の天地、新東亜の建設と併せ考えて頂ければ興味は倍増することと思います。挿絵は南画壇の重鎮たる矢野橋村画伯にお願いしました。画伯の枯淡、雅到に富む