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徳島県の片田舎に神山町という町がある。人口6000人あまりの小さな町で、吉野川の支流、鮎喰川の上流部に位置している。少子高齢化も進んでおり、高齢化率は46%に上る。過疎化に苦しむ、日本の中山間地の典型のような場所だ。 ところが、神山はIT(情報技術)ベンチャーの“移転”に沸いている。 名刺管理サービスのSansan(東京都千代田区、寺田親弘社長)が2010年10月にサテライトオフィス「神山ラボ」を開設したのを皮切りに、9社のベンチャー企業が古民家を借りた(サテライトオフィスとは、遠隔勤務を前提としたローカルオフィスのこと)。借りるまでにはいかないものの、ヤフーやグーグルなど大手IT企業の社員が短期滞在で訪れることもしばしばだ。空き家として放置されていた古民家がオフィスに姿を変えている。 その動きはオフィスだけではない。 移住者の増加に伴って、店舗や施設のオープンも相次いでいる。ここ数年を見
日経ビジネス2月10日号の特集「働き方革命」では、労働時間にメスを入れることで競争力を高めようとしている企業のケーススタディーを掲載した。 ダラダラと働く文化を変えて労働生産性を高める、多様な働き手を集めるなど、企業の狙いは様々だ。この連載では誌面に取り上げられなかった企業の事例や、「働き方革命」によって自らの働き方や意識を変えたビジネスパーソンを紹介しよう。 「1000円、10分カット」。理美容業界で異端とも言えるビジネスモデルで成長を続けるQBハウス。今、雇用の面でも、業界の常識を覆す動きを見せ始めている。 朝10時の開店とともに、引きも切らずに客が入ってくる。ショッピングモールの中にある「西友小手指店」(埼玉県所沢市)は、ここから昼過ぎまでが書き入れ時だ。家族で西友に買い物に来た夫が、妻や子供が買い物をしている間に髪を切ろうとやってくるケースが多い。 同店で一心不乱にハサミを動かし続
今回は、現代の組織では評価されることが難しい、続ける力と繰り返す力、について考えてみようと思う。 先日、大手電気機器メーカーのA氏から1通のメールが届いた。 「皆さん、とうとう会社を去ることになりました。これで生産ラインの平均年齢がグっと下がり、生産ラインに携わる人数も減ってしまいます。うちの会社の技術は工場で生まれました。色々な機能をオートメーション化できたのも、工場で働く人たちがいたからです。でも、目に見えない力や、数字に反映されない労働力は評価されません。それに対してどうすることもできない自分の力のなさに、辟易しています」 A氏と出会ったのは今からちょうど1年前。リーマンショックから半年が経ち、派遣ギリが世間で問題になっていた頃だった。当時、労働組合の委員長を務めていたA氏は、次のような“お家事情”を話してくれた。 「うちの会社に派遣社員はいないので、世の中で問題になっているようなこ
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