世の中には様々な物語が有る。出版されたフィクションや、ニュースが作る世論、酒の席での武勇伝。種類は様々だ。 その中でも「俺は昔ヤンチャだった」という物語は人気がある。 最近はその人気も下火なのかもしれないが、少なくとも昔は大いに人気があったと思う。 昔はヤンチャだったという物語の中では「暴力的な馬鹿」は主人公や愉快な仲間の一人として肯定される。 男らしく、あるいは女の意地を守るために、彼ら彼女らは欲望や勢いのままに生きる。 そしてそれらは「人間味に溢れている」などと持て囃される。 仇役は「大人しい賢人」や「普通っぽい人間」だ。 物語の中で彼らは人間味がない、裏で何してるか分からない、人の目を気にしていると好き放題の言葉でけなされまくる。 子供向けの物語の中でも主人公が「暴力的な馬鹿」で有ることは少なくない。 伸び伸びとした健康的な子どもとして描かれ、ルールを守るガリ勉野郎を次々蹴散らすヒー
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