広東歩歩高電子工業(BBK)は、いまやスマホ業界の全世界シェア5位以内にランクインしているOPPOやvivoなどといったメーカーを生み出した大企業である。その創始者・段永平氏は中国では知らないひとがいないほどの立志伝中の人物だ。 しかし、その知名度は日本では皆無と言っていい。今回はそんな彼と海賊版ファミコンとの意外な関係に迫る物語である。 ◆偽造ファミコンをヒットさせた秘策◆ ときは1989年―― 北京の真空管工場を辞め、大学院へ入り直していた段氏は、中山市旅遊局が1987年に設立したとある国有企業を訪ねる。のちの小覇王公司だ。そこで段氏は、ずっと赤字続きだという傘下工場の経営を任されることになった。 すると彼はすぐにその手腕を発揮。当時、製造していた海賊版ファミコンにとある秘策を施して販売したところた大ヒット。3年後には10億人民元(当時のレートで約300億円)を売り上げる大工場へ育て上