中国で最近、日中戦争を振り返る記事やテレビ番組でよく取り上げられる日本人女性スパイがいる。南造雲子という人物だ。ネットの中国語版グーグルで検索すると約82万件がヒットし、現役の日本首相なみの高い知名度を誇っている。 歴史雑誌「文史春秋」に掲載された略歴によれば、1909年に生まれ、諜報(ちょうほう)員養成機関で特訓を受けたあと17歳のときに中国に派遣され、現地人になりすまして当時の首都、南京に潜入した。 政府首脳から中国軍の兵力配置などの重要情報を引き出したほか、蒋介石の暗殺未遂事件を起こすなど目覚ましく活動した。42年4月に上海のフランス租界地で中国の特務機関に殺害された。 香港系の鳳凰(フェニックス)テレビが作成した彼女の生涯を紹介する特集番組の中で、中国現代史学会に所属する学者、常家樹氏は「南造雲子が中国に与えた被害はあの名スパイ、川島芳子よりも大きい」と指摘した。 しかし、彼女は本