「緊急人道支援」を目的とした日本の資金が、結果的に空爆による化学兵器使用につながっているのではないか-。政府によるシリア・ジャンダール火力発電所整備事業への資金提供問題は、紛争地帯への支援で「人道」と「軍事」を線引きする難しさを浮き彫りにした。だが、事態は米軍が巡航ミサイルで攻撃する段階まで来ている。空爆されたアサド政権側の基地を含め、供給先を「特定していない」とし、確認も説明も避ける政府の姿勢は許されない。 「紛争下の人道支援で必要なことは、支援がかえって紛争激化に拍車を掛けないようにすることだ」。シリア情勢や平和構築に詳しい元国連職員の小泉尊聖(たかきよ)氏(56)は指摘する。 「Do no harm(害を与えない)」。小泉氏は、こうした事態に至りかねない「もろ刃の援助」を防ぐことが、平和構築の基本だと強調した。 人道支援は、主に食料や水、衣料、医薬品といった直接人に届く分野と、電力や