「この国は一流の国際金融センターなのです」 総面積が淡路島の10分の1ほどの英領バミューダ諸島は、青い海を求めて観光客が集うリゾートに加え、もう一つの顔がある。法人税やキャピタルゲイン(金融資産の値上がり益)への課税がない「タックスヘイブン(租税回避地)」だ。 マイケル・ダンクリー首相の演説を熱心に聞いていたのは、米国の資産運用会社の幹部ら。米民間監視団体「シチズンズ・フォー・タックス・ジャスティス(税正義を求める市民たち)」などが昨年10月に発表した報告書によると、主要500米企業のうち約150社がバミューダに子会社を持つ。 世界を代表するIT企業のグーグルもバミューダを使う。関係会社の登記上の住所は、政庁所在地ハミルトンの4階建てビルに入る法律事務所。だが、ビルの案内板にグーグルの名はなく、従業員もいない。英議会の報告書などによると、同社は欧州での収益を低税率のアイルランドに集まるよう