戦後のドイツ人はまったくの自信喪失に陥り、その歴史は贖罪の歴史だった。ホロコーストという罪を犯してしまったがために、軍事力とは縁を切り、外交は常に低姿勢で、かつて迷惑をかけた周辺国との和解を念頭に、遠慮しながら国を運営してきた。 NATO(北大西洋条約機構)も、そしてEUも、ドイツの力を十分に利用しながら、しかし、彼らの目的の半分は、ドイツを牽制することだった。 考えてみれば、ドイツは長い間、実に不当に扱われてきた。しかし、それが分かっていても、すべて丸呑みする以外に、ドイツ人に国際社会復帰の道は開かれなかったのである。ところが今、それが劇的に変わり始めている。 戦後の自信喪失から「強国」へと意識が変化し始めたドイツ人 「ドイツは人口が多く、大陸の真ん中に位置しており、世界第4位の経済大国だ。我々がすべての隣人を友人として獲得し、また、国際的な同盟の中で信用のおけるパートナーとなり得たこと