NHKの放送文化研究所では1973年から継続して5年おきに、全国の16歳以上の国民5,400人に対する「日本人の意識」調査(個人面接法による)を行っている。刊行されている報告書は「現代日本人の意識構造 (NHKブックス)」。 ここでは、この調査により、個人の物質生活として衣食住への充足度がどう推移しているかを見た。近年、格差や貧困の問題が重視されるようになり、日本社会全体を貧困がおおっているような印象であるが、実際に衣食住で困っている人が増えているかどうかを調べてみようという訳である。衣食住に充足していない人の比率がすなわち貧困を感じている人の比率(意識からみた貧困度)ととらえてよいであろう。 小泉政権(2001年4月~2006年9月)の構造改革政策によって、格差や貧困が日本社会を蝕むようになったと論じられることが多いが、1998年から2008年にかけて、特に衣食住への充足に変化は見られな