広域火山灰の分布 まずは(図1)をご覧ください。火山が日本中に分布している訳ではないのに、日本中、至る所に火山灰層が分布していることを示す証拠が見られます。このような火山灰は噴出源の火山から数100km以上も離れた地域までの広い領域を覆っているため、広域火山灰と呼ばれるもので、数日から1週間程度で降り積もるものと考えられます。広域火山灰は、歴史的には一瞬のうちに広い地域を覆った時間マーカーなので、遺跡の年代決定などに欠くことができないものです。また、ローカルな火山噴出物との上下関係から、その火山の噴火史を読み解くことにも使われます。 また広域火山灰は、規模が大きく、激しい噴火によって数10kmの高さまで噴き上げられた噴煙が上空の偏西風に流される途中で経路の地表に降り注ぐため、日本に分布する広域火山灰は、必ずしも日本の火山から放出されたものばかりとは限りません。一部には、中国と北朝鮮国境の火