企業の競争戦略論の第一人者であるマイケル・ポーター米ハーバード大学教授が新たに提唱した「Creating Shared Value」(以下、CSV)。同教授はこのコンセプトにおいて、企業は社会と共有できる価値の創出を目指すべきだと主張し、大きく3つの方向性を示した(図1)。 これまで取り上げた「社会課題を解決する製品・サービスの提供」、「バリューチェーンの競争力強化と社会への貢献の両立」に続いて、今回は3つ目の方向性である「事業展開地域での競争基盤強化と地域への貢献の両立」について考察する。 なお、特定の地域において、特定の産業の成長を促すよう競争基盤が集積している状態を「クラスター」と言う。スタンフォード大学やベンチャーキャピタル、IT関連企業などが集積する米シリコンバレーがその典型例である。 自らの競争基盤を強化すること、さらに政府などと協力してクラスターを形成することは、一般に地域の