私の祖母が亡くなったのは、この春の事だ。 世間は県外移動の自粛を求めており、不要不急の外出を控えるように、と声高に叫ばれてる、そんな頃だった。 彼女は90歳を超えた大往生であり、こればかりは致し方ない、というやつだ。 自宅の布団で昼寝をしたまま二度と起きて来なかった彼女は、穏やかな顔だった、らしい。 らしい、というのは、私は祖母の葬式に出れなかったからだ。 東京という土地で住む私は、喪主たる伯父から直々に電話を貰い『申し訳ないが、葬式への出席を遠慮して欲しい』と言われたのが、理由だ。 正直、悔しかった。私は祖母が好きで、最後のお別れをきちんとしたかった。 けれど同時に、伯父が意地悪で言っている訳では無いとも、分かって居た。 田舎の葬式だ。そして祖母の年齢になると、弔問客も、親戚も、高齢者層が増える。 そこに、東京から帰って来た孫が、まかり間違ってウィルスを持ち込みでもすれば。 伯父の苦渋に