『トランスジェンダー問題』(拙訳)が出版されて約5カ月が経った。その間、同書の刊行記念イベントとして、いくつものイベントに登壇した。多くの書店さんなどが本書に興味を持ってくださり、企画が次々と立ち上がったのは、本当にありがたいことだった。ただ、そうしてイベントに登壇するなかで、気になることがいくつかあった。以下では、そのなかから書き残しておくべきだと思われることについて書く。 0.はじめに 社会生活上の行動制限が徐々になくなりつつあるとはいえ、コロナ禍で書店に足を運ぶお客さんが激減したことは、出版界全体にとって大きな変化だっただろうと思う。そうしたなかで、これまで対面が中心だった出版記念イベントのオンライン化が急速に後押しされ、また以前までそうしたイベントを行ったことのない主体(書店等)が、Zoomなどを使って新たに参入するといったことも起きた。 わたしは、基本的にこの変化を好ましいものだ