国内で新型コロナワクチン接種が始まり8カ月が経った。接種できる環境は整いつつあるが、いまだに忌避する人もいる。ワクチンに対する不安や誤解が根強く残っているのはなぜか。鳥取大学医学部附属病院 感染制御部部長の千酌浩樹氏は「人間は不確実性を回避する傾向が強く、ベネフィットがリスクを上回っても合理的に判断できない」という――。 コロナワクチンは理論上、“いいとこ取り”である そもそもワクチンとは何か。千酌教授の解説はこうだ。 「人の体には、もともと病原体――細菌やウイルス――に対する免疫力が備わっています。ワクチンは、病原体そのもの、あるいは病原体の破片を与えることで人の免疫系を刺激して、病原体に強い体にする働きを持っています」 病原体そのもの、あるいは病原体の破片を入れると聞いて、ドキッとする人がいるかもしれない。しかし、過剰な心配は不要だ。 「病原体そのものを入れるタイプは“生ワクチン”とい