日本で使われている漢字には、字形を戦後に簡略化した新字体と、簡略化される前からの旧漢字がある。旧漢字を学校で学ぶことはないだろう。だが、ビジネスの世界では、きちんと覚えておかなくてはならない旧漢字もある。 会社名では「新日本製鐵」「東亞合成」「野村證券」など。人名では姓で「池澤」「濱口」「廣瀬」などをよく見かける。新字体で表記することもできるが、客先が旧漢字で名乗っている場合はそれに従う方がよい。 日本の旧漢字は中国語の繁体字とほとんど同じだ。旧漢字を知っていると、台湾など繁体字が利用される地域では看板や標識なども読めるものだ。「便當(弁当)」や「檳榔(ビンロウ)」といった看板を見て、昭和32年生まれの私は読むことができたが、同年代でも旧漢字が読めない人はいた。 どうやって旧漢字を覚えるか。旧漢字あるいは繁体字をすべて覚えるのは難しいが、新字体で形を変えられた旧漢字の読みに絞って一気に覚え