「タッチパネルのことしかやらない。その代わりタッチパネルのことなら、できることはなんでもやる」。タッチパネル研究所は、その名のとおりタッチパネル関連の部品や材料、製品の開発・販売で急成長を遂げている企業である。 タッチパネルはいまや、ATMや携帯電話、ゲーム機など日常の至るところに浸透しているが、同社は「大企業ではできないこと」に注力、成果を上げている。特に、航空機の客席に備え付けられるモニター用のタッチパネルでは、世界シェア1位を誇る。「少量多品種なうえに、ものすごくスペックにうるさい。大手ではやれない」典型的なニッチ分野である。 社長の三谷雄二は、もともと帝人で「透明導電性フィルム」の開発に従事していた。約30年前のことだ。これを使ったタッチパネルの事業化に取り組んだが、パソコンもまだ普及していない時代。市場はなきに等しい状態で思うようにいかず、事業は他のメーカーに移管された。三谷も同