「原発事故以降、福島を巡って巻き起こる声は、そこに住む人間にすれば、すべて、住民を置き去りにしたもののように感じられました。 誰もが、当事者をないがしろにして、何かを語りたがっている状況に、私は、強い違和感を感じました。おそらく、怒りと言っていいのだと思います。 私がこんな事をはじめた理由は、自分達のことは、自分達自身で語るしかないのだ、という思いが根底にあります。 ただ、そんな中、ICRP111だけが、私たちに寄り添ってくれたものであるように感じられました」 こう書いたのが、「福島のエートス」☆☆代表を務める安東量子さんでした。2012年3月のことです。 この文章にある「ICRP111」とは何でしょうか。民間の非営利団体である国際放射線防護委員会(ICRP)が、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故後、放射性物質に汚染された土地で、そこに住む人々の回復 (rehabilitation)