私たちはいかにして新型コロナウイルス感染症と共存していくか――「ウィズコロナ」社会における受容と反省について 鈴木基 感染症疫学、国際保健学 社会 はじめに 2020年3月に世界保健機関が、新型コロナウイルス感染症についてパンデミック(世界規模流行)の状態にあると評価してから3年が経過しようとしています。当初、世界各国は感染制御を目的とした広範な行動制限策を講じていましたが、既感染者の増加とワクチン接種の普及による致死率の低下を受けて、2022年初頭以降は次々と制限を緩和、撤廃しています。世界最大の人口を抱え、長らく「ゼロコロナ」政策を堅持してきた中国政府も、2022年12月初旬をもってその方針を転換しました。これにより、国際社会は最終的にこの感染症と共存する道を選択したのだと言えるでしょう。 本稿では、日本国内の流行や対策の状況からは少し離れて、国際社会が本格的に迎えることになった「ウィ