短編の「折りたたみ北京」、そして先日読んだ長編の『1984年に生まれて』が非常に面白かった中国の女性作家・郝景芳(ハオ・ジンファ)の短編集。 「人之彼岸」というタイトルからも想像できるかもしれませんが、AIをテーマにした短編が並んでいます。 この短編集の大きな特徴は冒頭に、作者によるAIをテーマとしたエッセイ(「スーパー人工知能まであとどのくらい」と「人工知能の時代にいかに学ぶか」)が収録されているところ。どちらも面白く著者の思考や洞察力の確かさを教えてくれるものなのですが、著者のAIに対する考え、つまりSF小説のネタが披露されてしまっているようなものであり、読む前は「この構成はいかがなものか?」と思いました。 ところが、やはり郝景芳は上手い。 最後の短編「乾坤と亜力」は、乾坤(チェンクン)というAIと亜力(ヤーリー)という3歳半の子供の交流を描いたわずか11ページの短編に、エッセイのエッ