ウクライナ東部の前線に配備されているウクライナ軍の部隊=ウクライナ東部ドネツク州クラスノホリフカで2021年3月5日、AP 2014年からウクライナ軍と親露派武装勢力の紛争が続くウクライナ東部で、20年7月に始まった停戦の合意違反行為が増大し、死傷者が相次いでいる。双方がお互いの「挑発行為」を非難し合う中、武装勢力が前線部隊に先制攻撃を許可するなど情勢は緊迫化しており、今春以降に戦闘が再燃する恐れも指摘されている。 紛争が続くのは東部ドネツク、ルガンスク両州にまたがるドンバス地方と呼ばれる一帯だ。停戦監視に当たる全欧安保協力機構(OSCE)によると、20年7月27日に停戦が始まって以降、銃撃や砲撃などの違反行為は3月初めに累計1万1000件を超えた。特に今年に入ってから、約6000件と目立っている。英字紙「キエフ・ポスト」によると、停戦開始後のウクライナ軍の死者は2月末時点で16人で、この