表現できる自己なんてあるのかな 70年という長き間、読者を飽きさせない努力と工夫を、詩人はしていた。背景にあるのは切実な思いだった 原稿を書くこと以外でお金を稼ぐ道がなかったから。詩を書いて食っていかなきゃいけないってことを十分意識してましたよね。 それと、人間社会の中で自分も何か役割を持たなきゃいけないとは思っていて、それが自分にとっては詩しかないっていう感じですよね。 僕は、社会を気にして書き始めている。書きたいものを書くのではなくてね。どうしたらウケるか、というのはずっと意識してきました。 他人が受け入れてくれなければ、原稿料が入らない。だから売れたいって思いは最初からありました。実際、書いたものが人に受け入れてもらえるかどうかは結果論だから、僕にもわからない。勘みたいなものはありますけどね。 詩でも散文でも、自分の書くものが読者の興味をひいたり、喜びを生んだりできるかどうかみたいな