瀬戸内海に浮かぶしまなみ海道最大の島、愛媛県今治市の大三島(おおみしま)では、農作物への被害をもたらす害獣イノシシを資源として活用しようとする取り組みが進んでいます。ジビエ肉の販売や皮や骨の有効利用など、農業被害額を超える価値をイノシシから生み出そうと活動している「しまなみイノシシ活用隊」の代表、渡邉秀典(わたなべ・ひでのり)さんに今年で9年目となる隊の活動内容について伺いました。 発足のきっかけ 今年で44歳になる渡邉さんが実家の柑橘(かんきつ)農家を継ぎ始めた2000年頃には、大三島にはイノシシはいなかったとのこと。就農して4、5年が過ぎた30歳くらいの頃、突如現れ始めたのだそうです。イノシシの繁殖力は高く、島の人がなすすべもなく手をこまねいている間に、農家が丹精こめて育てた柑橘を存分に食い荒らし、あっという間に数を増やしました。 旺盛なイノシシの食欲に、園地のみかんを食い荒らされてし