「山口の山奥の小さな酒蔵」旭酒造。「獺祭(だっさい)」のブランドで知られる創業74年の日本酒メーカーだ。同社の売上高は今期、過去最高となる150億円を超える見通しとなった。うち半分程度は海外が占め、将来的にその割合は9割まで上昇する見込みという。国内マーケットが縮小する中、輸出と現地生産を両輪とする海外戦略で成長を加速させる。4代目蔵元の桜井一宏社長(45歳)に話を聞いた。 旭酒造の海外増収をけん引するのは、中国を中心とするアジア市場だ。2021年9月期の輸出売上高70億円のうち、約50億円はアジア地域だった。その他にも、フレンチシェフの故ジョエル・ロブション氏と共同でパリにレストランを出店するなど、獺祭は欧州や中東でも流通している。 一方で、桜井社長に今後注力したいマーケットを問うと、米国と明言した。欧米の食文化に獺祭を浸透させていくために、米国は「まだまだ追求する、掘っていく市場」であ