山崎光男:ノルディックセミコンダクター、Rod Morris:Dynastream Innovations 無線通信の技術革新が進む一方で、業界標準の方式が確立していない分野がある。「ワイヤレスセンサーネットワーク(WSN:Wireless Sensor Network)」だ(図1)。 WSNは、低消費電力でセンサー機能を備えた複数の「ノード」から構成されているのが一般的だ。それぞれのノードは、RFトランシーバやマイコン、小容量の電池などでコンパクトに実現されており、ワイヤレスネットワーク上の多数のノードと相互に通信する。WSNは、ホームオートメーションや工業/産業用のプロセス監視や制御に使われている。 WSNの分野では、いくつかの最新技術が競合しているが、今のところいずれの技術も決定的な地位を確立しているとは言えない。その原因は、技術的な課題にある。WSNには、消費電力や、ワイヤレスイン
Wi-Fi Allianceは、無線LAN規格の最新版「IEEE 802.11n」の後継規格として、5GHz帯を使う「IEEE 802.11ac」を採用する方針を明らかにした。 Wi-Fi Allianceは、「IEEE 802.11a/b/g/n」といった無線LAN規格の認証プログラムの策定や、普及促進に取り組む業界団体である。2010年11月に開催された報道機関向け事業説明会に登壇した同AllianceのMarketing Directorを務めるKelly Davis-Felner氏(図1)は、「IEEE 802.11acは、IEEE 802.11nとIEEE 802.11aの後継規格と位置付けている」と述べた。 現在、IEEE 802.11委員会のWG(Working Group)が、IEEE 802.11ac規格のドラフト版の策定を進めており、2012年末には規格の策定作業がすべ
ARMコアが、サーバ機の分野で新たな黄金時代を築くべく歩みを進めている。ただし、Marvell Technology Groupによれば、ARMコアプロセッサが同分野のメインストリームに躍り出るには、まだしばらく時間がかかるという。 Marvellは、ARMの「Cortex-A9」コアをベースにした1.6GHz動作のクアッドコアプロセッサをサーバ機やネットワーク装置に向けて売り込む計画だ。このプロセッサチップ「Armada XP」は、米国カリフォルニア州サンタクララで2010年11月9日~11日に開催されるARM Technology Conferenceで発表された。Marvellは同プロセッサで、業務用の省電力ウェブサーバから、NAS(Network Attached Storage)、デジタルホーム向けのメディアサーバに至るまで、幅広い機器を狙う。 Marvellは、ARMコアの大口
アームは2010年9月、同社の次世代汎用プロセッサコア「Cortex-A」シリーズの新版「Cortex-A15(開発コードEagle)」の狙いについて発表した。 同社は従来の「Cotex-A」シリーズを高性能な携帯電話機に内蔵するアプリケーションプロセッサ向けだと説明していた。Cortex-A15では、携帯電話機はもちろん、データセンターに設置するホームサーバにまで適用範囲を広げる。 図1 アームのプロセッサの世代比較 Cotex-A15は、32nm世代以降の製造プロセス技術を前提にしている。採用チップが2013年以降に製品化される見込みだ(右上の赤丸)。 高性能な電話機に用いるプロセッサコアは、今後3つの段階を踏むという。現在はCoretex-A8を用いた携帯電話機がほとんどである。まず2010年内にCortex-Aシリーズの最上位品であるCortex-A9のデュアルコア版を用いた携帯
図1 米Apple社のiPad iPadは、2010年4月3日(米国現地時間)に鳴り物入りで発売された。 米UBM TechInsights社*1)の分解レポートによると、米Apple社の「iPad」には、並はずれて高度なプロセッサとメモリー・チャネルのほか、多数のタッチスクリーン向けチップを採用するなど優れた設計手法が採用されていることが明らかになった(図1)。同社の分解レポートによると、「iPad」にチップを提供した主要な半導体メーカーに、韓国Samsung Electronics社と米Broadcom社が含まれているという。 Apple社のプロセッサ「Apple A4」は、iPadが搭載したチップの中で最重要の部品といえる。今回の分解で一番の驚かされた。「Apple A4」は、64ビット幅のメモリー・バスを採用している。これはiPhoneやiPod Touchのメモリー・バス幅の2
かつて冷戦時代に使われた監視技術が今や、おもちゃにも取り込まれている。極めて実用的な暗視スコープが、土曜日の朝、アニメ番組のスポンサー広告として紹介されるようになった。 今回紹介する米Jakks Pacific社の赤外線暗視スコープ「Night Vision 2.0」は、対象年齢が8歳以上のハイテクおもちゃだ。小売価格は、わずか59.99米ドルながら、真っ暗闇の中でもものが見える。 Night Vision 2.0は同社のハイテクおもちゃ「EyeClopsシリーズ」の1つで、このシリーズにはこのほか「Bionic Eye」や「Mini Projector」などがある。EyeClopsシリーズの共通点は、既存の技術をたくみに組み合わせて、子供の興味を引くようにまとめることである。例えばBionic Eyeは、複数のレンズを組み合わせた複合レンズ技術とCMOSセンサーを使う。両者を融合すること
R. Colin Johnson:EE Times、翻訳 仲宗根佐絵、編集 EE Times Japan 電子ペーパーは、木を伐採して作る新聞紙の代替となり得る。ただし、伝統的な新聞市場に入り込めればの話だ。そして、新興企業の米NewsFlex社にはアイデアがある。電子ブックの売り上げを伸ばすためにテキスト1ページ大のディスプレイが必要だったように、電子新聞向けには、新聞紙と同じように折り畳め、同程度の大きさのディスプレイが必要だという。 同社の創設者であり、CEOを務めるEdward Laves氏は、「当社は、紙の新聞を読むのとほぼ変わらない感覚を利用者に与えることを可能にするディスプレイ技術を持っている。そして、ニュース配信において、電子新聞をテレビやインターネットよりも先行させるビジネス・モデルがあると信じている」と述べている。 NewsFlex社は、一般的な大きさの電子ペーパーを4
R. Colin Johnson:EE Times、翻訳 仲宗根佐絵、編集 EE Times Japan 米OmniVision Technologies(オムニビジョン)社は、2010年2月15日~18日にスペインのバルセロナで開かれる携帯電話関連の国際展示会「Mobile World Congress」で、同社独自のCMOSイメージ・センサー・チップの第2世代品を公開する予定だ。 OmniVision社のCMOSイメージ・センサー・チップは、「BSI(Backside Illumination:裏面照射型)」という方式を採用している。この方式では、光検出器をチップ層の一番下に作り、チップを透明な窓の上に配置する。金属配線層を積層した後にチップを裏返し、光検出器が上(透明な窓の下)になるようにする。一方、FSI(Frontside illumination:前面照射型)では、光が光検出器
1980年代に登場したCAN(Controller Area Network)は、ISOによる国際標準化を経て、非常に大きな進歩を遂げた。機能が拡張されていったことにより、CANの応用領域は広がり、今では自動車から、産業機器、工場のライン制御などにも使えるようになった。しかし、機能の拡張に伴い実装も複雑になっていった。 CANのコントローラは初期のものから発展した結果、多くの機能を備えるようになった。今では、さらに多くの機能を持つコントローラを使うこともある。そして、CANを制御するソフトウエア・ライブラリは、多様である。車載機器間の通信に使うだけでなく、産業機器の制御などに使う「CANopen」や「DeviceNet」といった通信プロトコルに対応するものもある。 自動車の中で、CANは「部品」の1つに過ぎない。開発者はなるべく少ない手間でCANを実装する必要があり、自動車システム全体を見
図1 太陽誘電が開発したリチウムイオン・キャパシタと色素増感太陽電池を内蔵する充電器 薄く軽いことが特徴である。上部に見えるリチウムイオン・キャパシタは展示用に露出させたもの。1mmの厚さに太陽電池とキャパシタを内蔵した試作品も見せた。 図2 製品化間近の無接点充電用クレードル 米Apple社のスマートホン「iPhone 3G」に取り付けて無接点充電を実現する外付けクレードルと充電台。 村田製作所は、超小型の無接点充電向け受電側制御モジュールを開発し、エレクトロニクスの総合展示会「シーテック ジャパン 2009(CEATEC)」(2009年10月6日~10月10日に幕張メッセで開催)で展示した。電磁誘導方式に対応したもので、受電側(2次側)の出力電力は2.5W。実装面積を、セイコーエプソンがすでに量産している受電側制御モジュール「AT25」のおよそ1/4に小型化した。ID認証の仕組みと
組み込みセキュリティ製品を手掛けるフランスTrusted Logic社が、米Google社のOSであるAndroidに「NFC(Near Field Communication)」機能を追加するソフトウエアを発売した。Trusted Logic社は最近、オランダGemalto社に買収されている。 この「Trusted NFC」は、携帯型情報機器にNFCを使った通信機能を持たせるソフトウエアだ。ネイティブ環境、またはJava環境向けのAPI(Application Programming Interface)も提供する。NFCは機器間のワイヤレス通信や料金支払いシステムに利用できる。 Trusted Logic社は、さまざまなOSに向けてTrusted NFCを提供している。各種携帯型情報機器向けOSだけでなく、「Android Emulator」などのパソコン上のシミュレーション環境に向け
大容量不揮発メモリーが登場、NAND型の4倍の記録密度、10倍の書き込み速度を備える(2009/06/09) 7年間の研究開発の後、米Unity Semiconductor社がついに不揮発性メモリー技術の開発に成功し、2200万米ドルの追加資金も獲得した。 「CMOx」と呼ばれる同社の技術では、ある種の導電性金属酸化物(conductive metal oxide)を採用している。材料の組成は明らかにされていないが、新材料を用いることで電荷キャリアであるイオンの伝導が可能になったという。Unity社は同技術によって、メモリー・セル内にトランジスタをまったく必要としない、書き換え可能なクロスポイント型のメモリー・アレイを開発したと主張する。クロスポイント型メモリー・アレイとは、直交するビット線とワード線の交点にメモリーを形成するだけで、メモリー・アレイを形成できるセル構成をいう。 同
ソフトウエア開発にはバグがつきものだ。ただし、バグの発生を最小限に食い止める方法がある。コーディング規則を適用してコードを記述することだ。バグが発生してからそれを発見し、修正するという通常の開発手順に比べて、簡単に、しかもコストをかけずにバグをつぶせる。 ここでは、ZigBeeを利用したセキュリティ・システムから医療機器にわたる筆者の組み込みソフトウエア開発の経験から得た、バグをなるべく発生させないコーディング規則を紹介する。 なぜコーディング規則が必要か コーディング規則は、ソフトウエア開発者に対して、コードを記述する上での規則をまとめたものである。英語のライティング教本として著名な「The Elements of Style」(William Strunk Jr.、E. B. White著)の、プログラミング言語版のようなものだ。 組み込みソフトウエアにも、きれいで、正しく、簡
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