ウクライナ・スラビャンスク(CNN) ウクライナ東部の町スラビャンスクのほこりにまみれた路上で、黒い長袖シャツに作業ズボンといった出で立ちの男が1人、たばこをふかしている。男には監視の目が注がれている。 「奴はこっちのものだ」。道の向こうに止めた車から、男が無線で呼び掛ける。「さあ、始めるぞ」 反対方向から1台のバンが現れ、男の前で急ハンドルを切って止まった。中から戦闘服を身に着け、覆面で顔を隠した男2人が躍り出る。黒シャツの男は、本能的とも思える動きでその場に倒れ込んだ。ウクライナ保安局(SBU)の要員らは、倒れた男のボディーチェックを行い、極めて重要な証拠を回収する。男の所持していた携帯電話だ。 ウクライナ東部では、ロシア軍とウクライナ軍による砲撃の応酬がほぼ常態化している。ロシア軍の砲撃の大半は無差別だが、一部は価値の高い目標を狙って行われる。軍の野営地や兵器の集積所、クラマトルスク