肉が食べたい。ある日突然、どうしようもなく牛肉が恋しくなるときがある。牛肉に噛り付きたくって、居てもたってもいられなくなる。 おそらく、僕の中の野性という本能が、体と精神に牛肉を求めているのだろうと思う。こういう時はステーキである。焼肉やすき焼きもいいが、この気持ちをおさめてくれるのは、ステーキである。 東西数多くの肉焼き名人がいて、素晴らしいステーキ屋があるが、中でも「揚げ焼き」と呼ばれる手法で、当代一の名人だと思う料理人が京都にいる。 僕はこの「肉が食べたいっ」となった瞬間、心が京都に飛ぶ。そこでなんとか工面をつけて京都に行く。