いくつかまとめて、ちょっと長い話を書きます。日本のデザイナーの皆さんに、ぜひ最初に知っておいてほしいんです。 日本でよく聞かれる噂話ですが、「Bodoni(ボドニ)はイタリア、Caslon(カスロン)はイギリス、Helvetica(ヘルベチカ)はスイスで生まれた書体だからその国で使うもの」なんてことは決してありません。その辺のことをドイツ人の友達と話したら、結局「タイポグラフィはそんなに簡単じゃない!(笑)」というところに落ち着きました。イタリアの人がつくった書体はイタリアのイメージのはずだ、と考えるのは単純すぎるんです。 私はワインに詳しくありませんが、詳しい人になると「イタリア料理にはイタリアのワインが合う」なんて大ざっぱなことは言わないでしょう? 料理が肉だろうが魚だろうが、イタリアのワインだったら赤でも白でも、辛口でもなんでもいいなんて。 だから、書体を選ぶ際に産地じゃなくてその書