対米黒字が日本経済を壊す--。5年前の著書『黒字亡国』で、円安を満喫してきた製造業企業に冷水を浴びせたのが、三國事務所代表の三國陽夫氏。金融危機後に円高シフトが強まる中、そのシナリオは現実味を増してきている。 --『黒字亡国』で指摘された負の構造問題が見えてきました。 アメリカが強いドル政策をとったときに、日本は円安誘導で応じた。円安誘導を続ければ、結局、経常収支の黒字を恒常化させ、累積させて外需依存型の成長を維持することになる。そもそも経常黒字を続けることは、日本が獲得した輸出代金(ドル)をそのままアメリカに返す形で(米国債)投資をしてきたことと同じ。ドルを円に交換しないから円高は防げるが、儲けたおカネは国内に回らないので国内の購買力が失われると同時に、銀行は流動性が減じて信用創出できなくなる。だから、日本の経済成長率が下がってきた。 経常黒字の累積は、日本の経済活動の中から、購買力をア