ブックマーク / courrier.jp (35)

  • 米国で増える「大学で暮らし、大学で学ぶ高齢者たち」─新しい生涯教育の形 | 85の大学で2万人以上

    米国ではいま、2万人の高齢者たちが、大学が彼らのために用意した施設で暮らし、キャンパスで学びながら老後を満喫しているという。ベビーブーマー世代の高齢者と大学の双方にとって有意義なこのプロジェクトを、英誌「エコノミスト」が取材した。 大学内に高齢者施設 「宇宙には私たちしかいないのでしょうか? それが、ここで答えを出そうとしている核心的な問題です」と、NASAとも協働している惑星科学者、ミーナクシ・ワドワは熱心に聞き入る学生たちに語りかける。この問いに答えるためには、「火星に行き、岩石を採取する必要があります」と彼女が説明すると、ある学生はノートに書き留め、別の学生はiPhoneでスライドの写真を撮った。 アリゾナ州立大学(ASU)のこの教室は、多くの点で他と変わらない。熱心な女子学生たちが前列の席を占め、男子学生たちは後方の席に散らばっている。だが、彼らが身につけた補聴器が、この教室が普通

    米国で増える「大学で暮らし、大学で学ぶ高齢者たち」─新しい生涯教育の形 | 85の大学で2万人以上
  • 日本の「漫画」は、フランス総選挙の行方も左右するのだろうか? | 「『ONE PIECE』ファンでいながら、極右RNの支持などできない」

    国民議会選が目前に迫り、極右政党「国民連合(RN)」が存在感を強めるなか、フランスではこれに抗議する運動が各所で湧き起こっている。女性の権利を訴える団体の大規模デモ、サッカー選手キリアン・エムバペや女優のマリオン・コティヤールをはじめとする多数の有名人の反対表明……。 さらに、日の「漫画ファン」コミュニティもRNへの反対を訴える。「『ONE PIECE』、『進撃の巨人』、『NARUTO -ナルト-』のファンでありながらRNに投票しようとするなんて、作品を理解していないか、作品の哲学をないがしろにしているかだ」。その真意とは? エマニュエル・マクロン仏大統領による国民議会解散を受け、6月30日と7月7日におこなわれるフランス総選挙。その選挙で、漫画がどのような役割を果たすというのだろうか? 間近に迫った投票を脅かす暗い危機を前に、日漫画など、とるに足らないようにも思えるが、選挙戦がイン

    日本の「漫画」は、フランス総選挙の行方も左右するのだろうか? | 「『ONE PIECE』ファンでいながら、極右RNの支持などできない」
  • 英誌が自民裏金問題にいち早く切り込んだ「しんぶん赤旗」を賞賛 | 日本の大手メディアの「自己検閲」を懸念

    自民党派閥の政治資金裏金パーティー問題など、これまで数々の政治スクープを他紙に先駆けて報じてきた「しんぶん赤旗」に英誌「エコノミスト」が注目。その一方で権力におもねり、政治の責任を追求しようとしない日の大手メディアの姿勢に疑問を投げかける。 日では2024年1月に通常国会が召集されて以来、主にあるひとつの問題が議論されつづけてきた。 政権与党たる自民党の汚職スキャンダルだ。 2023年末、政治資金を集める目的で開かれていた会費制パーティーの収入を報告書に記載せず脱税したとして、検察は複数の自民党派閥への捜査を開始した。 すでに会計士や議員などを含む自民党関係者が起訴されており、同年12月には閣僚4人、副大臣5人が更迭された。 2024年4月には岸田文雄首相が自民党の重鎮2人である塩谷立元文部科学相と、世耕弘成前参院幹事長を離党勧告するなど、39人の党員を処分した。 日を揺るがすこの政

    英誌が自民裏金問題にいち早く切り込んだ「しんぶん赤旗」を賞賛 | 日本の大手メディアの「自己検閲」を懸念
  • 仏紙が問う「なぜ日本の建築家は、自国において亡命状態にあるのか」 | 日本は建築の国なのに…

    フランスでは、日人建築家が高い人気を誇り、数々のコンペティションを勝ち取っている。だが、日の大規模プロジェクトでは、彼らの活躍の幅は意外にも狭く、個人や海外からの発注に逃げ場を見つけているという。そのことに気づいた仏紙記者が、日の建築事情を深掘りする。 日は「建築の国」なのだろうか。最近のニュースからすると、そう言えそうだ。2024年3月、日人建築家の山理顕がこの分野の最高の賞であるプリツカー賞を受賞した。日でこの栄誉ある賞を受賞したのは山が9人目で、これによって日は建築分野を率いる存在になった。世界中が口々に日のスター建築家を称えている。 特にフランスでは、日人建築家の人気は高く、権威あるコンペティションをいくつも勝ち取っていて、象徴的な建造物を多く生み出している。たとえば妹島和世と西沢立衛による建築家ユニット、SANAAは「ルーヴル美術館ランス別館」(ついでに言え

    仏紙が問う「なぜ日本の建築家は、自国において亡命状態にあるのか」 | 日本は建築の国なのに…
  • 英紙が見た「マーティ・フリードマンのロック界で最も奇妙な人生」 | メガデスから日本のお茶の間へ

    ヘヴィメタル・バンド、メガデスの元ギタリストとして日でもお馴染みのマーティ・フリードマンに、英紙「ガーディアン」がインタビュー。その唯一無二のキャリアと、いまだに魅了され続けているという日への想いを語った。 メガデスのギタリストが、なぜ日の昼間のテレビ番組で化粧品の品評をするに至ったのか、というのは、ヘヴィメタル史上、最も困った問いと言っていいだろう。 「チャレンジするのに夢中になったんですよ。当にこれが自分にできるんだろうか、ということに」とマーティ・フリードマンは笑う。 「その最難関が、ある番組の審査員でした。女の子たちが登場して、念入りにメイクをする番組なんです。この世のなかに、自分にとってこれほどどうでもいいことはないのに。『ほう、このファンデーションにこのチーク、あの子によく似合うじゃない!』なんてね」 フリードマンがメガデスに参加したのは1990年のことだ。彼はこのヘヴ

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  • フランスが漫画大国になった歴史を「仏紙の40年の報道」から読み解く | フランスに根付くまでの40年間

    フランスでも非常に人気が高い日のマンガ。その評価は初めから高かったわけではなく、長年かけて徐々に定着していったという。日のマンガはフランス社会でどう受け止められてきたのかを、仏高級紙「ル・モンド」上での40年以上の報道から読み解いていく。 フランス中が悲しんだ鳥山明の死 とうとう孫悟空が孤児になってしまった……。史上もっとも有名なマンガのひとつで、世界で2億6000万部を売り上げた『ドラゴンボール』の作者、鳥山明が68歳で亡くなった。3月1日のことだったが、遺族がそれを公表したのは1週間後だった。 こうして日から世界にマンガを広げた主要人物の一人がいなくなってしまった。仏紙「ル・モンド」にウィリアム・オーデュロー記者はこう記した。 「2013年にアングレーム国際漫画祭で特別賞を受賞。2019年にはフランスの芸術文化勲章『シュバリエ』を受章した。地方に暮らすことを好んだマンガ家の鳥山明

    フランスが漫画大国になった歴史を「仏紙の40年の報道」から読み解く | フランスに根付くまでの40年間
  • 国が衰退しているのは明らか─それでも日本人の「平和ボケ」はいまも健在 | どうしてそんなに無頓着?

    進む少子高齢化、成長しないどころか後退しはじめた経済、そして頼りにならない政府──そんな危機迫る状況にもかかわらず、なぜか日国民は落ち着いているようだ。その“不思議”を米紙「ニューヨーク・タイムズ」が解説する。 数十年間ほとんど成長をみなかった景気が、いまや後退段階に。減り続ける人口、昨年の出生数は過去最低。政治が硬直しているように思われるのは、事実上権力を握っているのが一党であり、どれほどスキャンダルまみれになろうと、不支持率が高まろうと、その状況に変わりがないからだ。 でも、ご心配なく。ここは日、悪い情報はすべて相対的なものだ。 まあ見てみよう。日みたいな現状ならば、社会的荒廃の兆候、たとえばゴミの散乱、路面の穴ぼこ、ピケライン(ストやデモの際に張る監視線)等々を想像するだろうが、それはまず見当たらない。安定ぶりとまとまりの良さはいまも驚くほどで、破滅が差し迫っている感じはほとん

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  • 萩尾望都が仏紙に語る「漫画を描いて、母の抑圧からの解放を模索した」 | BLの礎を築いたアーティスト

    漫画が人気なフランスだが、いわゆる少女漫画の作品はまだあまり知られていない。そんななか、フランスで1月末に開催されたアングレーム国際漫画祭に合わせ、大規模な萩尾望都回顧展がアングレーム市美術館で開催された(2024年3月17日まで)。これを受け、仏紙「ル・モンド」がオンラインで萩尾にインタビューをしている。 戦後日漫画界の立役者 萩尾望都の50年以上に及ぶ創作活動から生まれた作品の数々に目を通すと、痛感することがある。それは、フランスが世界有数の日漫画消費国を自負するわりに、日漫画の受容においてすっぽりと抜け落ちてしまっている部分があることだ。 これは萩尾だけに限った話ではないが、フランスでは、日の著名女性漫画家の作品の多くが出版されていないのだ。1972~76年に描かれた萩尾の初期の名作『ポーの一族』のフランス語版が出版されたのは、2023年に過ぎない。 1949年生ま

    萩尾望都が仏紙に語る「漫画を描いて、母の抑圧からの解放を模索した」 | BLの礎を築いたアーティスト
  • 『君たちはどう生きるか』と『ゴジラ-1.0』は『オッペンハイマー』への回答だ | アカデミー賞を控え米紙が3作品を分析

    現地時間3月10日に授賞式が開催される米アカデミー賞では、「原爆の父」の伝記映画『オッペンハイマー』が最多13部門にノミネートされた。さらに宮﨑駿監督の10年ぶりの新作『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション部門に、全米で大ヒットとなった『ゴジラ-1.0』が視覚効果部門にノミネートされるなど、邦画作品の快進撃も話題だ。 第二次世界大戦が舞台という共通点を持つこの3作品について、ニューヨーク映画批評家協会の会員である筆者が、米紙「ニューヨーク・タイムズ」に寄せた映画評で興味深い論を展開している。 『ゴジラ-1.0』でこれほど泣くとは思わなかった。 評判を聞いたときは、鱗に覆われた怪獣のクールなアクションが痛快なスペクタクル映画を想像していた。だが作は、壮大なアクションシーンに加え、第二次世界大戦終結からまもない世の悲嘆と、そこで生きる人たちの思索も描く。 『ゴジラ-1.0』モノクロ版の

    『君たちはどう生きるか』と『ゴジラ-1.0』は『オッペンハイマー』への回答だ | アカデミー賞を控え米紙が3作品を分析
  • 「何もかもが変だ」…英紙が日本半導体大手「9000億円買収」の真相を暴く | 本当に政府の「民間への介入」ではないのか

    2023年6月、日の半導体素材大手JSRが、投資ファンドによる買収を受け入れると発表した。買収総額は推定9000億円に上る。 JSRの名を知る日人は多くはない。だが同社は、半導体の基盤に集積回路パターンを転写するフォトレジスト(感光材)のトップメーカーで、サムスン電子や台湾積体電路製造(TSMC)、インテルなどを顧客にもつ。 フォトレジストは、半導体産業のなかで日企業が高いシェア率を誇る数少ない分野だ。 だがJSRの買い手が産業革新投資機構(JIC)であることが判明すると、関係者はいっせいに眉をひそめた。JICは日政府から資金提供を受ける官民ファンドで、その投資は経済産業省の監督下にある。同省は旧通商産業省の時代に企業に対して介入主義的な政策をとり、戦後日の驚異的な経済復興を支えた。 JICが東証プライム市場に上場する株をTOB(株式公開買い付け)した後、JSRは株式を非公開化す

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  • 漫画大国フランスがついに「少女漫画」の魅力に気づきはじめた | 70年代の日本作品が半世紀を経て上陸

    世界第2位の「漫画消費国」といわれるフランス。日漫画が絶大な人気を誇るなか、これまであまり評価されてこなかったのが少女漫画だ。だが、ついに「shôjo」にも光が当てられはじめた。それには、熱烈なファンの力もある。 「絶対にアングレームに行かなくては」──ブログ「Club Shôjo」の管理人、オードリー・マニスカルコはそう決意していた。彼女が興奮する理由は、漫画家・萩尾望都(はぎお・もと)の来仏だ。2024年1月、フランス南西部の街アングレームで開催されたヨーロッパ最大級の漫画の祭典「アングレーム国際漫画祭」では、彼女の栄誉を称え、特別回顧展が催された。 1949年生まれの漫画界の巨匠、萩尾望都は、永遠の若さに囚われた吸血鬼一族を描いた『ポーの一族』(小学館)の作者だ。1970年代に日で出版されたこの傑作がフランスに上陸したのは、2023年になってからだった。フランス語版を出版したアカ

    漫画大国フランスがついに「少女漫画」の魅力に気づきはじめた | 70年代の日本作品が半世紀を経て上陸
    mogmogkuma
    mogmogkuma 2024/03/01
    これは嬉しいニュース。少女漫画の多様性は本当もっと知られて欲しい
  • マイケル・サンデルの指摘 「能力主義社会の“勝者”たちが手際よく成果を残したとは言えない」 | 「テクノクラシー化」への警告

    理想的な能力主義が実現しても“ダークサイド”はある ──著書『実力も運のうち 能力主義は正義か?』では、私たちが暮らす民主的な社会に取り入れられてきた能力や功績(メリット)という概念が凝結し、それが社会的敬意を根っこから蝕んでいると論じています。 具体的には、能力主義によって「勝者は自分たちの成功をみずからの手柄と考え、敗者はエリートから見下されていると感じるようになった」と主張されています。能力主義社会ではどうすれば勝者になれるのでしょうか。逆に言えば、能力主義社会における敗者とはどういう状態、どういう人なのでしょうか。 重要なのは、有能という(望ましい)意味の「メリット」と、「メリトクラシー(能力主義)」を区別することです。能力主義とはルールからなるシステムであり、人が何に値するかに基づいて所得や資産、影響力を分配する手段です。 まずは、きわめて常識的で反論の余地がない有能さとしてのメ

    マイケル・サンデルの指摘 「能力主義社会の“勝者”たちが手際よく成果を残したとは言えない」 | 「テクノクラシー化」への警告
  • マイケル・サンデル「左派が恐れる“愛国心”を右派はきわめて有効に政治利用してきた」 | 「国境」と「移民」に代わるアイデンティティが必要だ

    30年ほど前、ハーバード大学教授のマイケル・サンデルは1990年代の“黄金の仮面”に隠されたものを暴いた。 冷戦終結後に訪れた繁栄と陶酔の仮面をはぐと、そこには不安があふれていた。サンデルの耳に届いたのは、エリート層が推進するグローバル化に反対する人たちの声だった。 彼らの意見を集めて1996年に出版されたサンデルの著書『民主政の不満 公共哲学を求めるアメリカ』(勁草書房)は、古典として読み継がれている。いまこのを再読すると、すでに現在の状況を予感させる記述がいくつも見られる。 また、サンデルは2020年に出版した著書『実力も運のうち 能力主義は正義か?』(早川書房)のなかで、能力主義を解体し、生まれや環境の平等が欠如していることが真の能力主義の普及を妨害している、と指摘する。 能力主義が生んだ格差によって大きな被害を受けた労働者階級が、怒りを覚えるのは当然だ。サンデルは『民主政の不満』

    マイケル・サンデル「左派が恐れる“愛国心”を右派はきわめて有効に政治利用してきた」 | 「国境」と「移民」に代わるアイデンティティが必要だ
  • 西側諸国は傲慢さを改め、BRICSと真面目に向き合うべきだ | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」

    誰の目にも明らかだろう。ガザでの戦争がきっかけでグローバル・ノースとグローバル・サウスの溝がさらに深まるおそれが生じている。 イスラム圏の国々に限らず、グローバル・サウスの国々の多くにとって、イスラエルがパレスチナの飛び地を空爆し、民間人の死者が数千人も出たことは、20年前の米国のイラク攻撃で数十万人の死者が出たときと同じように、西側諸国のダブルスタンダードそのものだと長い間、記憶されるに違いない。 一方、新興国側の主要な集まりであるBRICSは、数ヵ月前にヨハネスブルクで首脳会議を開催し、ますます力を持ちはじめている。2009年から開催されているこの首脳会議は、2011年からブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの計5ヵ国が参加してきた。

    西側諸国は傲慢さを改め、BRICSと真面目に向き合うべきだ | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」
  • 日本の「レコード喫茶」がアメリカに上陸しつつある | 渋谷の「名曲喫茶ライオン」に影響を受けた店も

    吟味したレコードを客に聴かせる日の「レコード喫茶」が、ロサンゼルスやニューヨークにも生まれつつある。なかには、渋谷の「名曲喫茶ライオン」に影響を受けた店もあるほどだ。米紙記者が、その体験談を語る。 リスニング・バーは、日ではレコード喫茶として主に1950年代から存在してきた。喫茶店の一種で、東京の裏通りに点在する小規模のカフェのことである。高級なオーディオ機器を揃え、バーの後ろに備えつけられたコレクションのなかから、バーテンダーが吟味したレコードを客に聴かせる場所だ。 そして最近になり、アメリカでもニューヨークやロサンゼルス、そのほかの都市にリスニング・バー(またはハイファイ・バー)が生まれた。まだぎこちないながらも、鑑識眼、嗜み、こだわりといったレコード喫茶独特の文化が広がりつつある。 音楽は「おまけ」だった 多くのアメリカ人にとって、バーとは会話をする場所であり、レコードを座って聴

    日本の「レコード喫茶」がアメリカに上陸しつつある | 渋谷の「名曲喫茶ライオン」に影響を受けた店も
  • 英紙の皮肉「大阪万博の混乱はドキュメンタリー番組の最高のネタだ」 | この時代に万博を開催する意味はあるのか

    建設費の膨張、参加予定国の撤退など混乱の大阪・関西万博について英紙「フィナンシャル・タイムズ」が皮肉めいたコラムを掲載。その手に汗握る展開は、まるでドキュメンタリードラマを観ているようだと揶揄する。 会場はいまだ「殺風景な駐車場」 メキシコとエストニアは撤退を表明したが、デンマーク、カメルーン、ジャマイカはまだ参加を希望している。 建設費のあまりの急騰ぶりに、ブラジル、アルゼンチン、ポーランドは、自国のパビリオンを簡素な「倉庫タイプ」へ変更することを検討中だと伝えられる。 欧州のある国は、日最大手の建設業者から「希望通りのパビリオンを作ることはできるが、完成は万博が閉幕してから1ヵ月後になる」と告げられたらしい。 ドキュメンタリードラマのシリーズを一気見できる時代にあって、2025年大阪・関西万博の開催準備は「完璧」な進捗を見せている。主催者側が全力で頑張れば、2シーズン分のボックスセッ

    英紙の皮肉「大阪万博の混乱はドキュメンタリー番組の最高のネタだ」 | この時代に万博を開催する意味はあるのか
  • パレスチナ人を愛した私は、もう二度とイスラエルに戻れない | 私はイスラエル人、元夫と子供たちはパレスチナ人

    涙が頬を伝い落ちてくる 10月7日から2週間が経った月曜日の午後、大学で週1回のマルチメディアの講義を教えながら、私の心は体から離れてさまよっていた。 冗談を言ったり、学生の質問に答えたりしている自分がいる。笑ってもいる。だが講義が終わって荷物をまとめるときに目に入ってきた自分の腕や手が、自分の体だと認識できない。 米国に移住する前、ずっと昔にテルアビブの太陽を浴びた見慣れた小麦色の肌がそこにある。それでも私は、この腕と手が自分のものだと感じられない。 最後の学生に手を振って別れを告げた後、私はかばんから携帯電話を取り出し、新しいメッセージを読んだ。 テルアビブにいるイスラエル人の元ボーイフレンドで、菜主義者であり反シオニストの平和主義者でもある彼はいま、自衛のためにスタンガンを手に入れようとしていた。もうひとりの友人は、イスラエルがレバノンのヒズボラと銃撃戦を繰り広げている場所からほど

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  • 『君たちはどう生きるか』は、宮﨑駿の全作品が放ってきた感情の極みだ | スペイン紙が「スタジオジブリ」の歩みを振り返る

    プロデューサーの鈴木敏夫は、『風の谷のナウシカ』(1984)のクリエイティブチームとはずっと繋がっていなくてはならないと理解していた。そして1985年、宮﨑と、もう1人の偉大なアニメの天才・高畑勲と共にスタジオジブリを設立した。この社名は、第一次世界大戦のイタリアの戦闘機パイロットたちが、サハラ砂漠に吹き付ける熱風から名付けたのではないかという伝説が飛び交っている。 米国人のスティーブン・アルパートは、スタジオジブリで働いた最初の「ガイジン」で、1996〜2011年まで国際販売の責任者を務めた。「ディズニー」の日支社で働いていたアルパートだが、複雑なジブリのすべてを理解することはできなかった。彼は自著『吾輩はガイジンである。──ジブリを世界に売った男』で、宮﨑の仕事の仕方を解説している。 「彼は『ストーリーボード』を描く。それらはジブリでは『絵コンテ』と呼ばれており、それがストーリーボー

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  • スペイン紙が総まとめ「宮﨑駿がアニメーション界に巻き起こした革命」 | 「彼は決して引退しないでしょう」

    「なんかね、こう、通常の形で物語を作りたくなくなってるんだよね。(中略)わかる映画は何かって言ったらつまらない映画なんですよ。論理でやっていくとさ、自分の考えで狭くなるから。(中略)子供たちはわかるんですよ、 論理で生きてないから」 これは、宮﨑駿の言葉である。 10月末に、日文学の古典である吉野源三郎の同名小説から自由に着想を得た、宮﨑監督の長編第12作目 『君たちはどう生きるか』 がスペインで封切られた。年齢を考えれば理にかなったことだが(宮﨑は2023年1月に82歳になった) 、作がこの日アニメーター最後の劇場公開作品になるものと予想されることだろう。だが宮﨑のキャリアにおいて、論理が君臨したことは一度もない。だから、彼の以前の引退発表には、毎回必ず疑いがつきまとっていた。 「映画ってね、作ってないと寂しくなるんですよ。作りたくなるんですよ」 NHKのドキュメンタリーシリーズ

    スペイン紙が総まとめ「宮﨑駿がアニメーション界に巻き起こした革命」 | 「彼は決して引退しないでしょう」
  • 英メディア「草間彌生が批判されるのは、世界が変わったからにすぎない」 | 「現代の価値観」の枠にはめる意味は?

    2023年10月、アーティストの草間彌生は、過去に人種差別発言をしたことを謝罪した。 価値観を時代にあわせてアップデートする過程で、かつての過ちを認めることは大切だろう。だが、それによって「キャンセル」されることは必ずしも正しいのだろうか──英メディア「アンハード」が論じる。 美術界の大御所が排斥の危機に 「人は生命の美と同じように恐怖も描くべきだと、私はずっと前に心に決めた」 芸術家はいかに怪物を創り出すか──あるいは、いかに怪物になるか。これを主題にしたH.P.ラヴクラフトの短編小説『ピックマンのモデル』の主人公はそう語る。 ピックマンの描いた絵は悪夢そのもので、語り手を務める友人かつ芸術家仲間は、ひと目見るのも堪えられないほどだ。語り手は身震いしてこう語る。

    英メディア「草間彌生が批判されるのは、世界が変わったからにすぎない」 | 「現代の価値観」の枠にはめる意味は?