桜川慈悲成作・歌川豊国画『変化物春遊(ばけものはるあそび)』(寛政五[1793]年刊)を、ちょこちょこ読んでいくシリーズ♪ ※国会図書館の画像を利用しています。 国立国会図書館デジタルコレクション - 変化物春遊 : 2巻 10ページ目です。 【翻刻】 ひとつめといふものハうまれ のまたひとつめにもあらず いたつてよきおとこなりけるが そのこにやまわらハといふもの ありてはけものになりたき よしをひたすらおやに ねがいけるゆへその ことをきゝとゞけばけ ものになれといふ こハかわゆいものかな ワれがふたつのめを ひとつくりてこのやま ワらハにぞやりける どふやらふるいやうなこと 【補足表記】 一つ目と言ふ者ハ、生まれのまた一つ目にもあらず、至つて良き男なりけるが、その子に山童《やまわらハ》と言ふ者ありて、化け物になりたき由を、ひたすら親に願いける故、その事を聞ゝ届け、「化け物になれ」と言ふ