青森県弘前市の弘前城で3日、天守を支える石垣を約100年ぶりに大改修するため、天守をジャッキで持ち上げて移動させる曳屋(ひきや)作業が本格的に始まった。見守った観光客からは「あっ、動いた、動いた」という声が上がった。 天守は重さ約400トン。1度の作業で15~30センチ動かすことができ、まず3、4の両日で約22メートル移動させる。城のある弘前公園の桜や松への接触を避けるため、2度の方向転換を経て10月下旬までに計約78メートル動かす。 前回の大改修は、明治時代の天守下の石垣崩落を受け、1915(大正4)年に完了した。今回は数百個の石を一つずつ取り外し、組み直す。天守が元の位置に戻るのは2021年秋の予定だ。 弘前城の天守は、全国に12ある「現存天守」の一つ。弘前城と堀に映るソメイヨシノ、赤い欄干の下乗橋は春の撮影スポットだが、曳屋でその風景がお預けとなる。(須田世紀)