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先日、開催されたAppleの開発者イベント(WWDC)では落胆の声が上がった。目に見える革新が感じられなかったからだ。 この発表を見て、日本から参加していたプログラマー清水亮さんはこう評した。 ここ数年のAppleの不調を象徴するかのような、インパクトに欠けたキーノートでした。 新ハードを期待していた人々には拍子抜けだったかもしれませんが、遅くとも毎年秋頃に突然新製品が発表されるのがAppleの常なので、今回は小休止といったところでしょうか。 私たちは1人のユーザーとして、目新しい製品こそが革新的だと思いがちだ。しかし、どうやらAppleは単なる電子機器メーカーから脱却したいようだ。 Appleの発表が地味に見えた理由もともとAppleにとってハードウェアを作ることは“手段”にすぎない。故・スティーブ・ジョブズは「コンピューターを作るのを目的とは思っていない。手段になるから作っているだけだ
2016年 オバマ大統領が見た光景5月27日、広島。オバマ大統領はこの光景を生涯忘れないだろう。 戦後71年が過ぎ、初めてアメリカの現職大統領が被爆地、広島の地を踏んだ。広島平和記念公園、献花したアーチ型の慰霊碑の先に原爆ドームが見えている。被爆の悲惨さを、いまに伝える施設である。 慰霊碑から原爆ドームが見えるのは、偶然の産物ではない。 そこには一人の建築家の意志が込められている。彼だけが、取り壊しが検討されていた原爆ドームを、シンボリックなものと位置付けた。 「悲惨な戦争を想起させるものは復興にそぐわない」「役に立たない」「経済的ではない」。こんな批判を受けながら、死者を慰霊する空間を作り上げた。彼がいなければ、オバマ大統領はこの光景を見ることはなかった。 建築家の名前を丹下健三(1913-2005年)という。丹下は建築界のノーベル賞と称される、プリツカー賞を日本人で初めて受賞した世界的
今の結婚って恋愛結婚が主でしょう? でもロマンチックラブ幻想や恋愛至上主義というのは、近代になってから人為的に発明されたものです。かつては「お見合い結婚」というシステムによって、非モテの男子にも、女性が一夫一婦制で配給されていた。その後、世の中の景気が良くなると、わりと誰でも「恋をして結婚して家庭を作って幸せになる」っていうテンプレートをこなせる時代になった。 ところが現在は社会がさらに変化して、それが崩れてきている。「男は、運命の相手である美少女が降ってきたら頑張る。それまでは頑張らなくていい。ていうか頑張れない」という風潮が生まれてしまった。 ――でも現実には、美少女は降ってきませんよね。 そうなんですよ。男は結婚に対してうかうかして、夢を見ているんだけど、理想の女性が突然現れて恋におちることは、現実にはなかなか起こらない。それなのに妄想上の美少女と、目の前の現実の女性とを比べて、いつ
人気番組「ザ!鉄腕!DASH!!」のなかで、TOKIOが福島県産小麦を使ったラーメンを披露したところ、Twitterにこんなツイートが投稿された。「TOKIO。究極のラーメンて、福島の小麦から作った麺なのかよ。人殺し。」「未だに『食べて応援』している馬鹿がいて頭が痛くなる」。 元になったツイートは削除されているが、このツイートに対して「根拠を示してほしい」「風評被害を拡大するな」と批判が殺到した。福島産の食材が紹介されるたびに起きる、既視感のある話題だ。なぜ、問題は繰り返されるのか。 2012年以降、小麦は基準値以下福島県水田畑作課の松浦幹一郎さんは淡々とした口調で語る。 「放射性物質の検査結果はウェブ上で公開しています。ここで、小麦の数値をみると、2012年以降で基準値超えはありません。2011年7月に広野町で収穫されたものが1件基準値を超えていますが、それ以外はない。これが事実です。福
「僕だってきついですよ。子供の成長を見ることができなかった。もう一度、一緒に暮らしたいですよ。でも、もうチャンスはないのかな…」 東京都内の居酒屋、40代の男性の口からこんな言葉が漏れた。震災から5年のこの冬、会社帰りの彼を食事に誘い、焼酎を片手に近況を聞いていた。 匿名を条件に取材に応じてくれた彼の名を、Tさんとしておく。Tさんは2011年の原発事故を機に家族と離れて暮らしている。2011年夏、妻と子供は西日本に引っ越した。原発事故による母子避難だ。 Tさんはいま、首都圏近郊のアパートに一人で暮らしている。朝は午前7時には家を出る。帰りは遅ければ午後10時過ぎ。食事は近所のスーパーで買った惣菜や外食で済ませる。一人暮らしにも慣れてきた、と思うが悔いは残る。 「会うたびに娘の体は大きくなって、言葉を覚える。その成長をそばで感じることができないですからね」 亀裂の原因になった「食の好み」Tさ
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 松本俊彦・薬物依存研究部長に聞いた石戸 清原和博容疑者が逮捕されました。有名人の逮捕が報じられるたびに、覚せい剤に注目が集まります。でも、その人の変わった言動が取り上げられたり、栄光と転落を語るストーリーが目立ち、薬物依存症そのものについてはよくわかりません。 松本さん 栄光と転落とか、本当に凡庸で、薬物依存の実態を捉えていないと思います。まず強調しておきたいことがあります。 覚せい剤などの薬物依存症は病気だということです。治らない慢性疾患の病気です。薬物に手を出す前の状態に完全に戻ることができるかというと、できません。 ――えっ、治らないんですか! 治らないというと、どきっとする方もいると思うのですが、回復はできます。 高血圧とか糖尿病なんかと同じです。病気を発症する前の健康状態まで戻すのではなく、自分が抱えている病気と上手に付き合って症状を
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