まさに森薫の、森薫による、森薫のための漫画。「民族衣装描きたいいい!」という作者の叫びが紙面から聞こえてきそうな、恐るべき描き込みの細かさです。しかもトーンワークの一部を除いて、作画作業のほぼすべてを森薫ひとりでこなしているのだとか。これはもう、「仕事だから手をぬかない」とかいうまともな道理の通じる次元ではないってことなんでしょうかね。本人の気のすむまで描いて描いて描き倒す、その筆ゆきを読者はただ見守ることしかできないのではないか。そんな気さえしてしまいます。エマの連載期間中に劇的な進歩をとげたこの人の絵が今後どう変化していくのか、楽しみでもあり、少々恐ろしくもあり。 「乙嫁語り」の舞台は19世紀中央アジアのカスピ海沿岸地域で、劇中の衣装もそのあたりのものを参考にデザインされているらしいです。では、元ネタにあたる実際のその土地の民族衣装はどういう感じなんだろう。気になって検索してみたんです