元旦の昼、「東京の伯父さん」という役割を果たすために新幹線の切符を買う。 平均寿命の半分近くまで好き勝手に生きてきた。堅実な教育を受け、こつこつ勉強し、十八になって、好きな数学をやろうと思ったけれども、あれは完全に才能の世界で、僕にはそんなに才能がないこともすぐにわかったので、どうしようかなと思って、そのころコンピュータがインターネットにつながって、いわゆるITバブルというのが来て、それでプログラミングをやるようになった。時代の子というやつだなと思う。 みんながやっていることをやらなきゃいけないと思わないこともなかった。僕は男のからだをしていて、自分を男だと思って、それを疑ったこともないから、当時の感覚では女の子とつきあわなくてはいけないのだった。たまたま同級生に言い寄ってもらって、いやじゃないかなと思って、みんながするようなことをひととおりやってみたけれど、控えめに言ってぜんぜん楽しくな