北京五輪の一番の成果は、支那の少数民族抑圧がいかに過酷か明らかになったことだろう。異民族を「南蛮」「北狄(ほくてき)」などと虫偏や獣偏で呼ぶ尊大な自民族中心主義は、今も支那で続いているのだ。 特にチベットでの想像を絶する抑圧は、今年に入ってからふたが開いたように続々と報じられている。水利、地下資源などの簒奪(さんだつ)、漢民族による観光産業の独占などで、チベット人の生きる術(すべ)を奪い、反抗には有無を言わせぬ弾圧だ。 山際素男『チベット問題』や業田良家『慈悲と修羅』に描かれたチベット仏教の僧侶・尼僧に対する残虐な拷問は、正視に耐えないものがある。銃床で殴る、水さえ与えず暗い密室に閉じ込める、などは序の口で、性的拷問は陰惨を極める。激痛で失神寸前の僧侶・尼僧に「さあ、お前たちの信仰する仏に祈れ、仏が何をしてくれるのか」と嘲弄罵倒(ちょうろうばとう)するのだ。 敵国の捕虜にさえ許されない残虐