宮台真司さんは、麻布から東大という典型的なエリートコースを歩んでいるため、宮台さんが「エリート」を語ると、どうしても現行のエリートのイメージが浮かんでしまう。しかし、宮台さんの語るエリートは、そのようなものではなく、僕がずっと慣れ親しんできたもの達と重なるところがある。その自分の経験と関連させてエリートの内容をもう一度詳しく考えてみよう。 僕の尊敬する三浦つとむさんには『指導者の理論』というものがある。三浦さんが語る指導者というのは、何か立派な肩書きがある人間をさすのではなく、指導者としての正しい意識を持っている者を指導者と呼んだ。指導者としての正しい意識というのは、指導される者よりも一歩先を見る視点を持っていることだ。 三浦さんが語る指導者は、人よりもたくさん働くというような実務的な面で立派なわけではない。多くの人が当面の目の前のものしか見ていないときに、その向こうにある、未来を見ること