「自分のほうが助けられる側になるとは思ってもみませんでした」 仙台で暮らす裘哲一(チュウ ツァイ)さんは、昨年起きた突然の出来事を思い出していた。 仕事中にかかってきた電話。横浜での留学時代に知り合ったフィンランド出身の夫からだった。 「ちょっと目眩がするから病院に行ってくるわ」 そう話した2歳年上の彼に「車はやめてタクシーで行ってね」と答えた。それが、最後の会話になった。50代になったばかりの夫はそのあとすぐに意識を失い、2日後に亡くなった。 持病はあったものの、予想だにしない急な別れだった。傍らには高校を卒業したばかりの息子がひとり。「頭が真っ白」になった。 裘さんがまず連絡したのは仲間と一緒に立ち上げた中国出身女性たちのコミュニティだった。宮城華僑華人女性聯誼会。略して宮華女(みやかじょ)。 「宮華女の人に連絡したらみんな来てくれて。手伝ってくれて。日本の葬式に参加したのも一回二回ぐ