「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」75点(100点満点中) 監督:ジャン=マルク・ヴァレ 出演:ジェイク・ギレンホール ナオミ・ワッツ 妻が死んだのに涙が出ない 「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャン=マルク・ヴァレ監督が、「ナイトクローラー」(2014)など近年高くその演技力が評価されているジェイク・ギレンホールを主演に作ったこの「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」は、その長ったらしい邦題同様、よくまあこんなわけのわからない話をこれほど面白い映画にしたものだと感心させられる佳作である。 ウォール街の優秀な金融マン、ディヴィス(ジェイク・ギレンホール)は、誰もが羨む成功した暮らしを送っている。ところがあるとき妻が交通事故死。だが彼は、その訃報に涙も出ず、なんら感情を動かされることもなかった。 おなじみブラックリスト掲載のオリジナル脚本の映画化だが、これはかなりうまくいった部類に入る
「ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ」60点(100点満点中) 監督:ジョシュ・クリーグマン 出演:アンソニー・ウィーナー アメリカの変態仮面 他者を激しく攻撃する政治家はカリスマを感じさせ、信者のような支持者を増やすことがある。だが、だからこそヘタを打つとかっこ悪さ100倍でたたかれまくる。 最近では、「国会にプラカードを掲げても何も生まれない」と、だれがどう見ても民進党のことを皮肉った安倍首相に抗議した蓮舫代表に対し、別に民進党なんて一言も言ってないよと首相みずからうまいこと切り返した事件が思い浮かぶ。 ここで終わっていれば良かったが、完全論破の陶酔感に浸ってしまった油断か、彼は直後に「訂正でんでん」などと痛恨の恥ずかしミスをしでかしてしまった。当然、翌日から全マスコミでこのみっともない失敗を報道されまくることになってしまった。教祖様のあまりにカッコ悪い姿に、信者たちも頭を抱えたこと
「サバイバルファミリー」90点(100点満点中) 監督:矢口史靖 出演:小日向文世 深津絵里 現代人なら大いに共感できるテーマ 「なんらかの原因で"電気"を失ったら、日本の都市生活者はどんな運命をたどるのか」それをある平凡な一家の視点で描いたシミュレーションムービー。 いい企画というものは、こんな風に1行の説明を聞いただけで「見たい」と思うものだ。 と、なぜそんなことを最初に書くかといえば、日本映画にはそういう当たり前の映画があまりに少なすぎるからだ。ましてオリジナル脚本のそれとなれば、ほとんど皆無といってよい。 東京で暮らす鈴木家。父の義之(小日向文世)は仕事一筋で亭主関白気味。母の光恵(深津絵里)、息子の賢司(泉澤祐希)、娘の結衣(葵わかな)の4人家族は特別仲がいいわけでもないが、トラブルもなく平凡に暮らしていた。そんなある朝、あらゆる電化製品が使えない事態に遭遇する。どうやらご近所も
「たかが世界の終わり」60点(100点満点中) 監督:グザヴィエ・ドラン 出演:ギャスパー・ウリエル レア・セドゥ 体調が万全の時にみるべき 「たかが世界の終わり」はグザヴィエ・ドランという若き監督の思想、個性が色濃く出た作品で、それを理解していないと作品のいわんとすることが非常にわかりにくい。だが後述するが、現在においては珍しい視点を持つ監督なので、理解者による絶賛が多いのはよく理解できる。 成功した作家のルイ(ギャスパー・ウリエル)が12年ぶりに帰郷した。彼が疎遠だった家族に会いに来たのには、大きな理由があった。じつはレイは病に侵されており、余命わずかであったのだ。だが過去のある出来事を理由に一度空中分解した家族たちは、表面上は友好を取り繕ってはいるものの、簡単に秘密を打ち明ける雰囲気には程遠く、レイはなかなか言い出せないのだった。 グザヴィエ・ドラン監督は、家族のことを「まるで傷跡」
「マリアンヌ」70点(100点満点中) 監督:ロバート・ゼメキス 出演:ブラッド・ピット マリオン・コティヤール 中年以上のカップル向きの古くて新しい映画 「マリアンヌ」は、クラシカルな雰囲気のスパイ&恋愛映画だが、ロバート・ゼメキス監督が撮るとさすが、エンタメ性の高いルックとなる。 1942年、諜報員のマックス(ブラッド・ピット)は仏軍レジスタンスのマリアンヌ(マリオン・コティヤール)と夫婦を装い、協力してドイツ大使暗殺に挑む。互いの凄腕ぶりと息の合った仕事ぶりに運命を感じたマックスは、そのまま彼女に告白し結ばれるが……。 舞台がカサブランカということでわかるとおり、往年のハリウッドの名作を存分にオマージュした内容で、とくに衣装や美術については「カサブランカ」(1942)を参考にしたと制作陣は語っている。 しかし撮影技術は現代のそれだから、冒頭のサハラ砂漠落下傘降下の迫力あるシークエンス
「セル」75点(100点満点中) 監督:トッド・ウィリアムズ 出演:ジョン・キューザック サミュエル・L・ジャクソン 久々のキング節 モダンホラーの大御所スティーヴン・キングといえば、かつては映画原作者として大人気だった。しかし近年ではテレビムービーがほとんどで、なかなか日本で劇場公開されることはない。リメイク版「キャリー」(2013)の前には「ザ・チャイルド:悪魔の起源」(2010)まで遡らねばならないわけで、20代の人は彼の原作映画をほとんど知らないのではないだろうか。 別居中の妻子に空港から電話をかけていたコミック作家のクレイ(ジョン・キューザック)。ところがバッテリ切れで肝心の通話が途中で切れてしまう。ところが次の瞬間、携帯を使っている人々が次々と狂い、周囲を襲い始める。暴徒と化した群衆から命からがら逃げだした彼は、通話が切れたきりの妻子の家へと向かうのだが……。 原作は06年の小
ゴールデングローブ賞で最多7冠に輝き、日本時間2017年2月27日(月)に発表となる米国アカデミー賞でも作品賞含む最多13部門14ノミネートされたミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』が、見た人を次々ととりこにしている。 (C) 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND.Photo courtesy of Lionsgate. 高速道路でいきなりミュージカルスタート! 映画はのっけから楽しさ満載だ。 夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。物語はこの街の中心部に向かう渋滞中のフリーウェイ(高速道路)から幕を開ける。突然、ミュージカルがスタートするのだ。 クルマから降り
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く