大学で社会学を学び始めたものです。ゼミで同和問題に関する質的調査を行なった論文について何本か読んだのですが、その調査内容が同和問題の当事者に偏っている点が気になりました。もちろん、当事者がどのような意図を持って活動しているのかについて当事者の視点で理解することは重要です。しかし、問題の根本的解決のためにはその活動に対し、マジョリティがどのように捉えているかを調査することもまた、同様に重要ではないのでしょうか。 加害を描出するには質的調査よりも量的調査のほうが向いていると思いますが、加害に注目した質的調査もありますよ。ただ、確かに、調査対象としてマジョリティよりもマイノリティのほうが選ばれやすいという傾向はありますね。それは、マイノリティのほうが差別についてよく知っているためです。 ぼくの研究仲間である福岡安則さん――差別問題でたくさんの質的調査をやってきた方です――は、しばしば「マジョリテ