抜擢された若手官僚が明かす挫折の軌跡 「政権交代の目玉『国家戦略室』はなぜ政治主導の『司令塔』になれなかったのか」 文:高田英樹 3年前に民主党政権が発足したとき、政治主導の理想を実現すべくスタートした首相直属の「国家戦略室」。若い優秀な人材が中枢から国を動かす、従来の霞ヶ関では考えられなかった画期的な組織と大きな期待を集めた。その理想の司令塔はなぜ十分に機能しなかったのか。メディアの評判はなぜ芳しくなかったのか。中心スタッフに抜擢された若手財務官僚が、その挑戦と苦闘の軌跡を語る。 2009年の政権交代から約3年が経った。 自民党から民主党への政権交代は、日本の政治・行政のあり方を根底から問い直す出来事であったことは間違いない。だが、今や当初の熱気は薄れ、政権交代により「変わった」ことよりも、「変わっていない」ことが強調されることが多い。それが、新たな「第三極」への期待にもつながっている。