東京から電車で約一時間半。群馬県太田市の東武伊勢崎線太田駅北口前にある「太田市美術館・図書館」は、世界最先端の感性やクリエイティビティに触れる美術館と、世界各国の絵本児童書やアートブックなどが揃う図書館から成る複合施設である。設計は国内外で高く評価されている若手建築家・平田晃久氏が担当し、市民はもちろん、図書や美術の専門家、建築家、ファシリテーター、行政の担当者など出来るだけ多くの関係者と議論を重ね、今年4月にオープンした。 人工と自然が混じり合う丘のような風景 この建物は、ばらまかれた5つの箱とそれらをぐるぐるとまとめあげるように絡みついたスロープで構成されている。箱の上部は屋上庭園となっている為、誰でも立ち入れるのだが、いわゆるフラットな屋上庭園とは少し異なり、箱の削れた部分からなだれ込むように緑が広がっている。これだけの違いだが、丘の風景と重なるからか、次第に、人工的な構造物が大きな